どうも、たかひろ(@LongHardHell)です。
2018年も終わりに近づいて来ました。今回は、僕が2018年に読んだ本の中で一番良かったものを紹介したいと思います。
その本は、こちら。
ここ数年、何回か人生に絶望する事があり、それを引きずって2018年も気分の落ち込みが激しい時期が多かったのですが…
絶望するたびにこの本を読み返し、何度も自分を蘇らせました。
人生で僕が今まで読んで来た本の中でも、かなりの上位に食い込む良著を、全力で紹介したいと思います。
「オプションBー逆境、レジリエンス、そして喜びー」とは
の書籍のオプションBの内容を最も象徴する一文として、以下のものがある
デーブがなくなってからわずか数週間後に、デーブが参加するはずだった父と子の催しのことでフィルに相談した。誰かにデーブの代わりをお願いする計画を二人で立てた。「でも、デーブにいてほしかった」と、つい弱音を吐いてしまった。フィルは私の方に手を回し、励ましてくれた。「オプションAはもう無理なんだ。ならば、オプションBをとことん使い倒そうじゃないか」。
完璧な人生なんてありえない。だからみんな、なんらかのかたちの「オプションB」を選ばざるを得ない。この本は、だれもがオプションBをとことん使い倒せるようにするための本である。
2017年 日本経済新聞出版社 「オプションBー逆境、レジリエンス、そして喜び」 17Pより引用
自分の人生は、こんなはずではなかった。キャリアにおける失敗、大切な人との別れ…など、人生には、あなたが元々思い描いていた理想の人生(オプションA)を、皆持っていた。
人生には、そんな思い描いていたオプションAは、ある日突然、物理的に手に入らなくなるという非情な側面がある。そんな時、オプションAに見切りをつけ、オプションBを自在に使い倒せるようになる能力を育むことが、この本の主旨である。
著者のシェリル・サンドバーグ(Facebook社のCOO、最高執行責任者)は、ある日突然、夫を急性心不全で失う。突然すぎる喪失に絶望を禁じ得ない日々だったが、そこから一歩ずつ進んでいく過程を、知人のアダム・グラント(ペンシルバニア大学ウォートン校教授、心理学者)に助けられながら、科学的、統計的な裏付けとともに描いている。
シェリル・サンドバーグは、2013年に「リーン・イン」という、女性のキャリアに関する書籍を出している。共同執筆者であるアダム・グラントも、「GIVE&TAKEー与える人こそ成功する時代ー」という書籍で有名だ。興味があれば、こちらの2冊もチェックしてみるといいだろう。
どんな人が読むべきか
この本が対象にしている人としては、
”何らかの理由で、人生に絶望している人”
だ。どんな事情や理由であれ、悩みの大小は問わず、最善の選択肢(オプションA)への扉が閉ざされてしまって人達へ、次善の選択肢(オプションB)を見つけ、上手く進めるための科学的方法論の数々が詰め込まれている。
取り扱っている例としては、家族・恋人との離別・喪失を経験した人や、鬱病、戦争からの帰還兵が経験するPTSDなど、なかなかヘビーな内容だ。当然ながら、キャリア面での挫折(左遷・失職など)の経験からくる絶望など、より身近なものにも、応用が効く。
取り扱われている方法論は、科学的裏付けがある実践的なものが豊富に盛り込まれているので、すぐに実践できるものばかりだ。人生に絶望している時に、これほどぴったりな本は無い。
この本の好きなところ
この本は、僕が人生で今まで読んできた本の中でも、トップ3に入るくらい勇気をもらえる本だ。今後も揺るぐことはあまりないと思えるくらいにの名著だと思う。以下に、この本に関して、僕が好きな所を挙げたい。
タイトルが秀逸
この本のタイトル「オプションB」。僕は、このタイトルが大好きすぎる。人生の絶望を乗り越えることを、これほど上手く言い表している表現はないのではないか、と思っている。
冒頭でも引用した、こちらの一文。
完璧な人生なんてありえない。だからみんな、なんらかのかたちの「オプションB」を選ばざるを得ない。この本は、だれもがオプションBをとことん使い倒せるようにするための本である。
2017年 日本経済新聞出版社 「オプションBー逆境、レジリエンス、そして喜び」 17Pより引用
この一文は、生きているだけで自動的に生じる絶望と、それでも生きる事を象徴した、とても印象的な文だと思う。
「オプションB」というタイトルは、生きる事そのものを象徴していると言っても良いと思う。
方法論に科学的な裏付けがある
「英検1級に1ヶ月で合格した僕が教える、最強単語勉強法」
「息子3人全員東大に入れたお母さんが教える、カリスマ子育て法」
人は、こういったタイトルで語られる方法論に飛び付きやすい。「英検1級」とか、「東大」という部分が、権威性を出している。いわゆる、ハロー効果と言われるものだ。
実績を出している人の方法論は、学ぶべきところが多分にあるだろう。しかし、ある一部の人に当てはまったからといって、あなたにも当てはまるとは限らないのだ。
日本の自己啓発系の書籍は、個人の体験談をベースとして、「僕ができた、だからあなたにも出来る!!」と言うスタイルで語られる本がとても多い。
しかし、アメリカ発の自己啓発書、特にベストセラーになるものは、必ずといっていいほど科学的・統計的な根拠が列挙されていて、
「科学的・統計的に根拠があるよ、だから、あなたにも当てはまる可能性が高いよ」
というスタンスで語られる。
例えばこんな感じで。
感情を言葉で表現することは、逆境を自分の中で処理し、克服するのに役立つ。健康心理学者のジェイミー・ペネベーカーが数十年前に行った実験で、大学生を2つのグループに分け、毎日15分ずつ4日間連続で課題を行ってもらった。一方の対照群は、日常のできごとを感情を抜きにして書き、もう一方のグループは人生最大のトラウマ体験、たとえばレイプや自殺未遂、子どものころの虐待経験などについて書いた。書き始めた初日は、トラウマグループの方が幸福感が低く、血圧が高かった。トラウマに向き合うのは苦痛を伴うだろうから、当然といえる。しかし、6ヶ月後の追跡調査では逆の結果が出た。トラウマについて書いた人のほうが、心身ともに良好な状態にあったのだ。
2017年 日本経済新聞出版社 「オプションBー逆境、レジリエンス、そして喜び」 85Pより引用
「あー、こんなにたくさんの人に当てはまっているのか、こんなに具体的な数字があるのか、だったら、自分にも当てはまるかもしれない」
と思うことの連続だと思う。
思い込みは訂正される
このような科学的な裏付けがあると、たまに、今まで何となく受け入れていたことが、サラッと訂正される事がある。
例えば、こんな感じ。
…ノスタルジア(郷愁)に関する研究によると、実際はその逆である。
(中略)
あのころに戻りたいと渇望するときに感じる痛みのことだが、心理学者によれば、それはおおむね快い状態なのだという。昔のできごとを回想すると、幸福感が高まり、人とのつながりを実感できる。人生をより意義深いものに感じ、よりよい未来をつくろうという気持ちをかき立てられる。
過去を振り返り、懐かしい思いに浸る事は、通常良くない事とされる。著名人でも書籍やTwitterなどでは、「過去を振り返るな、そんな事何にもならない」などと、頭ごなしに否定したりする。
しかし、科学はそんな事は言っていないようだ。なので、いくら偉い人が過去を振り返るなと言っても、気にする必要がないことが分かる。
科学的な裏付けは、どこぞでもらってきた思い込みをサラッと訂正出来るくらいの威力を持つ。オプションBは、これくらいの威力を持つ実践的方法論がてんこ盛りなのである。
重い事例の数々
人生の絶望から立ち上がる事がテーマであるこの本。絶望をテーマにしてるだけあり、扱っているテーマが、かなり重めなものばかりである。
・夫を突然急性心不全で失い、急に襲い来る絶望に対処する妻
・突如レイプされ、その影響で友達も失う就職を控えた女学生
・離婚と失職を一気に経験し、自殺を図るキャリアウーマン
・夫が突如逮捕され、息子も銃撃に襲われ亡くなり絶望に陥る妊婦
…などなど。
著者のシェリル・サンドバーグを始め、皆突如として最善の選択肢が物理的に不可能になってしまった人ばかりである。
絶望に、大きいも小さいも無いかも知れない。だが、数々の「これは流石に絶望するな、死にたくなるな」という事例を見ていると、自分の悩みがちっぽけに思えてくるのだ。
言語に尽くしがたい絶望からも、人は立ち上がる事が出来る。いくつもの事例を通して、その事を繰り返し実感できるのだ。
上の例に挙げた人達がどのように絶望から這い上がったのか、それは、この本を読んでからのお楽しみである。
まとめ
「オプションB~逆境、レジリエンス、そして喜び~」は、人生で絶望を味わうたびに、折に触れて読んでほしい名著だ。
確かに、絶望から回復するために心理学的アプローチをとったからといって、あなたを絶望に陥れた問題の根本を解決することはできないのかもしれない。そして、かつて望んでいた最善の選択肢は、もう手に入らない。
しかし、たとえ次善の選択肢でも、楽しく、再び幸せを感じることはできる事を科学的な方法論とともに何度も繰り返し教えてくれる本だ。
最善の選択肢が閉ざされてしまった人は、必読だ。