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聞き流すだけで英語が話せるようになるのか!?留学経験者が語る、聞き流し英語勉強法の真実

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どうも、たかひろ(@LongHardHell)です。

 
今回は、「英語は聞き流すだけで話せるようになるのか」、という、少し前から議論されているテーマについて。


何年か前から話題となったこの勉強法。聞き流すだけである日突然英語が話せるようになるという触れ込みで、某有名英語テキストが大流行したのは記憶に新しいですね。


しかしながら、その効果については賛否両論。本当に英語が話せるようになった!!という人もいれば、「ふざけんなコラァァ!!」と言いながらそのテキストを机に叩きつける人まで、効果の現れ方は様々だったわけです。

 
僕もある程度の期間英語を勉強してきた人間として、この勉強法に対しての意見はあります。今回は、僕自身の経験といろいろと調べて得た情報を元に、聞き流し英語勉強法に関しての意見を述べたいと思います。


なぜ話題になったのか

そもそも、なぜこの聞き流し英語勉強法というものが話題になったのか。この経緯から振り返って見ましょう。


そもそもの発端は、プロゴルファーの石川遼さんが、某有名英語テキストを使って英会話を習得した、という触れ込みだったわけです。


 

当時の石川選手は、超多忙でした。しかし、そんな中でも、海外進出へ向けて英語を習得する必要があった。

 
そんな超多忙スケジュールの中で、彼が英会話習得に使用していたのが、某有名英語テキストだったわけです。

 
この映像を見ると、本当に、

 
移動時間中に聞き流しただけで、話せるようになった


と受け取ってしまいますね。


この頭に残る売り文句と、石川遼選手を広告塔に使ったこの商品は大流行。私の父も持っていました。


しかし、喋れるようにならねぇじゃねぇかふざけんな!という声もたくさんあったわけですね。

 
実際に英語が話せるようになった人もいるようなので、この「英語は聞き流すだけで話せるようになるのか?」というテーマは、いろんな人たちがその後話題に挙げて議論するようになります。(だいたいの人が反対意見です笑)

聞き流しの効果

さて、ここで、”英語の聞き流しの効果”について考えてみたいと思います。


某参考書が有名になった理由は、本当に聞き流すだけで、英語がある日突然口をついて出てくるようになる、という宣伝文句です


公式ホームページを見ても、また有名になった当時のCMを見ても、本当に聞き流すだけでよさそう、という印象は受けるような言い方です。今までいろんな方法にチャレンジし、駅前留学などもしたが英語を話せるようにならなかった人達にとって、もし本当に聞き流すだけで話せるようになるのなら画期的!という事で有名になったわけですね。

 
さて、聞き流しの効用としてよく引き合いに出されるのが、


赤ちゃんは、毎日聞き流すだけで話せるようになるではないか」という事。


だから、たとえ第二言語であっても、とにかく大量の英文を聞き流していれば話せるようになるだろう、という理屈です。


ここに関しては色々な意見がありますが、”脳の臨界期仮説”説が一番有名ではないでしょうか。

言語獲得および第二言語習得における臨界期仮説(りんかいきかせつ、英: critical period hypotheses)とは、臨界期とよばれる年齢を過ぎると言語の習得が不可能になるという仮説である。母語の習得および外国語の習得の両方に対して使われる。第一言語と第二言語の両方の習得に関して年齢が重要な要素となっていることは定説となっているが、はたして臨界期なるものが本当に存在するのか、また存在するとしたらそれがいつなのかなどについては長い議論があり、仮説の域を出ていない。

出典:臨界期仮説 - Wikipedia


この言語学習における脳の臨界期については、自分たちの経験からも、なんとなくありそうな気がしますよね。まだ仮説の域を出ていないのですが、かなり有力な説です。


まぁ臨界期のようにいろいろと聞き流しに対する反論というものが出ていて、大半の人は聞き流しだけでは、第二言語の習得は無理だと感じているようです。 


幼児も「聞き流すだけで話せる」ようにならないっぽい


第二言語の場合、聞き流すだけで話せるようにならないだろう、というのは、おおむね意見が一致するところだと思います。

しかも、第二言語どころか、第一言語でも「聞き流すだけで話せるようになる」への反証が見つかっています。

親が聴覚障害で言葉が話せなかったため、テレビを見て育った子供がいたのですが、ケースワーカーに発見されたときの言語能力は、テレビを理解する能力はあっても、話させると文法的にはかなり不自然だったといいます。

2004年 岩波書店 白井恭弘 「外国語学習に成功する人、しない人~第二言語習得論への招待~」68Pより引用

この事例は興味深いですよね。基本的に幼児は、毎日言語を聞き流すだけ話せるようになる印象です。引用に使わせていただいた書籍でも、毎日聞き流していただけで、ある日突然完ぺきな分を話し始める子供事例が紹介されています。しかしこちらのテレビを見て育った子供の事例では、文法的にはかなり不自然な言葉を話した、との事。


第二言語だけではなく、第一言語でも、聞き流しただけで話せるようになる人、ならない人がいるわけです。これはいったいどういうことなのか。単なる個人差で片づけていい問題なのでしょうか。

僕が一番納得している説明

第二言語だけではなく、第一言語でも、聞き流しただけで話せるようになる人、ならない人それぞれの事例が確認されています。この相反する事例に関して、先程も引用させて頂いている同じ本から、再度引用させていただきます。この説明が、今のところ、ぼくが一番納得している説明です。

 

では、突然話し始める子どもは、それまで何をしているのでしょう。おそらく、頭の中で、話すことを考えていると思われます。様々な理由で(性格的なものでしょうが)口には出さず、頭の中で文を組み立てる練習をしているのでしょう。そうでなければ、突然完全な文を話し始める事はできないはずです。この頭の中での「リハーサル」というのが、どうやらカギになりそうです。

テレビを見て育った子供のケースと受容的バイリンガルのケースは、どちらも、このリハーサルをする必要がなかったのでしょう。つまり、彼らのおかれた状況では、インプットを理解する必要はあっても、話す必要がない。だから、聞いてわかるための能力は身についたのですが、発話の練習を頭の中でしなかったのでしょう。そのために発話能力が発達しなかったのだと考えられます。

2004年 岩波書店 白井恭弘 「外国語学習に成功する人、しない人~第二言語習得論への招待~」70Pより引用

要は、話せるようになった子供は、アウトプットを意識していた、またはアウトプットを意識する環境があった、という事です。話せるようにならなかった子供は、アウトプットの必要性のない環境で育ったので、発話能力が発達しなかった、という事なわけです。


一般的な家庭での幼児は、毎日大人たちが話す言葉を聞きながらも、言語によるコミュニケーションの必要を感じて、日々アウトプットを意識しながら過ごしていると考えられる、というわけです。我々はどうやら、赤ちゃんを甘く見すぎていたようですね笑


ちなみにこの「外国語学習に成功する人、しない人~第二言語習得論への招待~」という本、書店ではたまたま見かけて買ったのですが、なかなかの掘り出し物でした。第二言語習得論の基本的な部分を分かりやすく紹介してくれていて、第二言語習得に関する研究で分かっていることをを踏まえた上での勉強法なども紹介されています。どっかの誰かがテキトーに自分で試してよかった勉強法をブログで紹介しているのとは違い、ちゃんと学問としてわかっていることをベースに言語の習得について書かれているので、信頼できる内容。(笑)ボリュームも全部で120ページほどなので、外国語を勉強する上で一度は読んでおいて損は無い本だと思います。

 


石川遼選手は、聞き流しだけをしていたわけではない

さて、上の説明と、石川遼選手の場合を結びつけて考えて見ましょう。


石川遼選手は、超多忙のスケジュールの中で、スピードラーニングのようなひたすらにインプットをさせる教材を使用していたわけですが…

 
実際、彼はアウトプットする環境はあったわけです。

 
上の動画でもお父さんが言っていた通り、ゴルフは3~4人で回る際に、絶対にコミュニケーションは必要になってくるわけです。インタビューとかもありますし。その際に、なんとか伝えようと、努力せざるを得ないじゃないですか。

 
つまり彼は、


英語のアウトプットの必要性に迫られる生活の中で聞き流し(インプット)を行なっていた

話せるようになった


というわけなので、赤ちゃんが第一言語を発話できるようになるまでのプロセスと同じプロセスを辿っているわけですね。

 
残念ながら、多くの「聞き流すだけで英語が話せるようになる!」という触れ込みで教材を購入し、


本当に聞き流していただけの人は、上のテレビを見て育った子供と同じプロセスを辿ってしまった、ということになるでしょう。



子供に英語を勉強させたい場合は?

ここで一つ、考えてみたいケースがあります。


自分の子供は英語を話せるようになってほしい!と思い、幼い頃から英語を聞かせているという場合、かつ、あなたは特に英語は得意ではない場合は、どうなるでしょうか。

 
子供に本当に英語を聴き流させているだけだと、おそらく話せるようにはならないと思われます。これは、上のテレビを見て育った子供の事例を考えれば、予想はできますね。

 
やはり、話せるようになるためには、アウトプットを前提とした環境が必要という、当たり前と言えば当たり前の結論になります。

まとめ

「聞き流すだけで英語が話せるようになるのか!?留学経験者が語る、聞き流し英語勉強法の真実」

  • 本当に聞き流すだけという宣伝文句で、某有名テキストは流行した

  • 第二言語どころが第一言語でも、聞き流すだけでは話せるようにならない事例が確認されている

  • ”アウトプットを想定した”環境、または勉強法が必要



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