久々の英語教材レビュー。存在は知っていたが、ちょっと試すのは躊躇してしまっていたもの。ようやく試してみたら、やっぱりなかなか良かった。
その教材の名は、”HiNative Trek”。
“HiNative”という無料のQ&Aサービスを元々知っている人もいるかもしれない。しかしながら、HiNative Trekの方は有料ということもあり、使うことを躊躇っている人も多いだろう。
試させてもらって思ったのは、このサービスは、「TOEICではそこそこ点数を取れるようになったけど、アウトプットが足りていないなぁ...」という人に最適なサービスだろう、ということだ。
今回は、”HiNative Trek”の使用感レビューを書かせて頂く。このサービスを使うのを迷っている人の参考になればと思う。また、以下のリンクからHiNative Trekの概要が覗けるので、気になったら覗いてみてほしい。
- HiNativeとは?
- HiNative Trekとは?
- HiNative Trekのメリット
- HiNative Trekのデメリット
- HiNative Trekに向いている人
- HiNative Trekに向いていない人
- まとめ
HiNativeとは?
まず今回紹介するHiNative Trekの前に、その母体となる無料サービスの”HiNative”から説明する。
HiNativeとは、言語学習者のためのQ&Aサービスだ。
例えば英語を勉強している時に、「あれ、この表現って、ネイティブには自然に聞こえるのかな…」などの疑問が、よく湧く事があると思う。独学で勉強していたりすると、そんな疑問に答えてくれる人は近くにいなかったりする。
そこで、いつでも、どこでも、勉強しているの言語についての質問が出来るQ&Aサービスが誕生した。それが、HiNativeである。
使っている人なら分かると思うが、これはとても便利だ。このプラットフォームにいる人たちは、みなレスポンスが早い。簡単な、単語レベルの質問だったら、秒で答えが飛んでくる時もある。
しかも、質問したり、逆に質問に答えたりするのが、結構面白い。質問するときは、疑問がすぐに解決する。逆に、質問に答えるときは、人の役に立っている感がある。僕は、1時間以上もこのプラットフォームで質問したり答えたりをしていた事がある(笑)。
というわけで、HiNativeに関しては、英語学習者にとってはとてもためになるサービスなので、利用することをお勧めする。無料です。
HiNative Trekとは?
さて、そんな便利な無料サービスのHiNativeだが、アプリ内などで宣伝されている有料サービスがある。
それが、”HiNative Trek”である。
冒頭でも言った通り、HiNativeをビジネス英語に特化させたサービスである。かなりシンプルなサービスで、難しいことは何もない。
具体的な内容を、以下に書いていく。
1日1題のビジネス英語英作文
HiNative Trekのサービスはとてもシンプルだ。1日1題、ビジネスシーンでありそうなシチュエーションに関する英作文が出題される。
例えば、こんな感じ。
んで、答えると翌日にはフィードバック付きで回答が来る。さすが、レスポンスが早い。
後述するが、フィードバックはかなり丁寧だ。自分の音読したものも提出すると、自分の発音のどこがまずいかもかなり細かく指摘してくれて、お手本の発音も載せてくれる丁寧さだ。
1日1題という事で、1日あたりの負担もかなり軽い。通勤の時間で課題は終わってしまうくらいの量だ。
HiNativeの機能も使える
HiNative Trekは、HiNativeのビジネス英語に特化した有料版という位置付けだ。
というわけで、当然HiNativeで出来ていたことも出来る。
ビジネス英語に関わらず、日々の英語学習で分からない事は気軽に質問出来て、レスポンスも早い。
料金について
さて、このサービスを使うか使わないかの、最大のボトルネックになり得る部分について話す。
それは、料金。
HiNative Trekの料金体系は2つある。
- 9,800円/月(月額プラン)
- 98,000円/年(年額プラン)
当然ながら、年額で申し込んだ方が、二ヶ月分おトクという仕様になっている。
見た瞬間に思うだろう。
「高くね?」
と。(笑)
触れ込みとしては、「コーヒー1杯分のお値段で、英語学習を続けましょう。1日あたり約400円」とある。コーヒー1杯分と言われれば、確かに安い気がする。
この料金とサービス内容を考えてのコストパフォーマンスについては後述するが、この料金をどう捉えるかが、使うか使わないかの最大の分かれ目になると思う。
HiNative Trekのメリット
さて、ここまで駆け足でHiNative Trekの概要について説明してきた。
ここからは、僕が実際に使ってみてのメリットとデメリットを書いていきたい。実際に申し込むか申し込まないかの参考にしてほしい。
僕が使っていてとても良いなと感じた部分は以下の通りだ。
- 行動障壁が低い(手軽に取り組めて、負担が軽い)
- 問題のクオリティが高い(ちょうど良い難易度)
- フィードバック(添削)が詳細で丁寧
それぞれについて書いていく。
行動障壁が低い
さて、僕が教材を選ぶ上で1番大切にしている基準、それは、行動障壁の低さである。
物事の継続において、行動障壁の低さというのは非常に大きなポイントとなる。特に僕みたいな元ニートは、相当やり易さがない続かない。
行動障壁とはどういうものかというと、その行動に至るまでの障害である。
例えば、ランニングをするまでの行動障壁は、ランニングウェアに着替える→ランニングシューズを履く→準備体操をする→ランニング、という流れになるだろう。
例えばここで、ランニングシューズがちゃんと戸棚にしまってある状態だと、走るのがめちゃくちゃ億劫になるのだ。
というわけで、ランニングという行為を増やすためには、ランニングシューズをベッドのすぐ横に置いておき、すぐに履ける状態を作る事が良い方法と言われる。
実はこの考え方は、行動経済学では「アーキテクチャを作る」と言われる方法だ。
長くなったが、HiNative Trekはどうか?というと、行動障壁がかなり低いので、ちゃんと継続が見込めるだろうと思う。
何故HiNative Trekの行動障壁が低いかというと、
- アプリで起動できる
- 1日1題がノルマ(負担が軽い)
という事が挙げられるだろう。
通勤の時間くらいで、サクッと終わらせされるお手軽感は、心理的な負担の部分でとても評価できる、と思った。
問題のクオリティが高い(ちょうど良い難易度)
HiNative Trekで出題される問題だが、同時通訳者の関谷英里子さんが監修している。
関谷 英里子(せきや えりこ)は、日本の同時通訳者・翻訳家である。神奈川県横浜市出身。慶應義塾大学経済学部卒業。日本通訳サービス代表。NHKラジオ「入門ビジネス英語」講師。
商社や外資系企業での勤務時代、国際的ブランドとの事業提携、商品企画開発、広告・プロモーション開発などに携わり、英語・日本語でのディスカッション、ネゴシエーション、プレゼンテーションの第一線を経験する。
通訳者として独立後、各種国際会議のほか、アル・ゴア元アメリカ副大統領、ノーベル平和賞受賞ダライ・ラマ14世、フェイスブックCEOマーク・ザッカーバーグ、ヴァージン・グループ創設者リチャード・ブランソン会長など、多数の世界的なVIPの講演にて同時通訳を務める。
「カリスマ同時通訳者」の異名を持ち、通訳・翻訳業のほか、書籍出版、メディア出演、雑誌連載、自身の講演活動など幅広く活躍している。
こんな本を書いている人である↓
メディアにもバンバン出て、著書多数な、超有名通訳者である。実際、HiNative Trekも、関谷さんが問題監修をしていることを一つの宣伝文句のように使っていたりする(笑)。まぁ、商社や外資系勤務での経験から、いわゆるビジネス英語に関しての造詣の深いことは分かる。問題のクオリティとしては、保証されていると考えていいだろう。
僕も実際やっているが、結構むずい。
例えば、先ほどの写真のような問題。
「こんにちは、Bettyさん。今日は自社食品へのお客様の反応が直接見られるように、食品デモンストレーターの側について働いてもらいます。」
こんな問題が出題されると、
「やべぇ、食品デモンストレーターって、英語でなんていうんだ??」
とか、
「”〜してもらう”って、どう表現すればいいんだっけ...?」
など、あれこれ考え始める。必要であれば、いろいろググり始める。これが、非常に良いトレーニングになると感じた。
フィードバックが詳細で丁寧
外国語を学ぶ時に、避けては通れないプロセスがある。それは、トライアルアンドエラーだ。
自分が正しいと認識していたものが、実際は間違っていた、または不自然だと気づく。このようなプロセスを経て、自分の認識は矯正されていく。何かに上達するというのは、そういう事の繰り返しだと思うが、英語学習も例外ではない。英語を話せるようになるためには、いつまでも音読教材ばかりをやっていればいいというものではないわけだ。
そして、HiNative Trekではその上達に必要なフィードバックがかなり詳細で、丁寧なのだ。これは、とてもいいアウトプットの機会になる。
例えば、こんな問題が出た。
そして、こう答えた。
ちゃんと調べてから作文したのだが、語法にミスがあったので、解答にて指摘された。
まだ続く。
さらにさらに、最後に、僕の回答の修正バージョンと、それを音読したものまで載せてくれた。
こんな感じで、かなり詳細な解説を加えて、添削をしてくれるのだ。これは、独学をベースでやっている英語学習者にとって、かなり助かる。
今回僕が間違えた、「be made of」と、「be made from」の違いは、僕は昔からかなりテキトーにやってしまう部分があることを改めて認識した。しかもこの解説、どこぞのテキストに載っている説明よりもずっと覚えやすい。
添削してくれているのはネイティブスピーカーなので、ちゃんとネイティブスピーカーの発想・考え方を学べるのだ。その点でも、他の教材などではなくこのサービスを使い倒した方が覚えられるという利点があると思う。
HiNative Trekのデメリット
次に、デメリットについて書いていく。僕が感じたデメリットは、以下のような部分だ。
- 料金
- 土日休み
- 問題の自由度が高過ぎて戸惑うときがある
それぞれについて書いていく。
料金
さて、このサービスの申し込みにとって最大のボトルネックになり得る部分、料金について考えてみよう。
先ほども言ったが、このサービスの料金は、
- 9,800円/月(月額プラン)
- 98,000円/年(年額プラン)
だ。1日あたり490円、触れ込み通りコーヒー一杯分の料金だということになる。490円で、ちゃんと添削される問題を買える、と考えれば良い。
さて、この月額9,800円を払う価値があるのかどうか、ということだが、このサービスがあっている人には、当然価値があるだろう。
確かに、既に英会話スクールに通っていたり、なんらかの語学学習コミュニティのような、自分に最適なアウトプットできる環境を見つけている人にとっては、わざわざ月9,800円の出費をしてこのサービスを使う必要は無いのかもしれない。
冒頭でも言ったが、このサービスの効果を実感できる人たちは、こんな人達だ。
- TOEICではそこそこ点数が取れる(600〜800)が、アウトプット足りなさを実感している人
- TOEICの勉強では物足りなさを感じている人、TOEICの勉強を卒業したい人
- 現段階で英会話スクールに通うのは経済的、あるいは英語力的に躊躇している人
- 自分に最適なアウトプット環境を見つけられていない人
このような人達にとっては、コストを抑えながら適度なアウトプットが出来る教材だと思うのだ。
どんな人にも合っていると言えるわけではないが、上記に当てはまる人には良いコストパフォーマンスを実感してもらえると思う。
土日休み
今のところ、HiNative Trekでは土日にフィードバックが返ってくる事はない。金曜日の昼以降にこなした課題は、基本的には次週まで持ち越しとなる。この部分も、改善まで待つ必要があるかなーと、個人的には思う。
問題の自由度が高すぎて戸惑うことがある
まぁこの辺はさらっと読んでもらって構わないのだが…
個人的にちょっと戸惑ったのが、問題の自由度が高かったり、お手軽過ぎて、どう答えて良いか分からない時がある、という部分だ。
例えば、先ほど上の写真の問題。日本語を英訳して、それに対する回答も英作文し両方まとめて投稿するというものだ。
「この餃子にグルテンは入っていますか?」
これ見たとき、「ん…?」と少し思った。
というのも、普通dumpling(餃子)には、グルテンは入っている。しかし、この架空の商品の設定としてのdumplingに、グルテンが含まれているかどうか分からなかったのだ。
なので、思考がぐるぐると回った。
「ん…?普通餃子にはグルテン入ってるよな、小麦粉だし。だけど、この問題の設定として、グルテン含まれていないのがウリとか、そんなんあったっけ…?やべ、正直この前の問題飛ばしたから分からねw」
色々と調べ、数分後。
「うーん、問題の設定的には、グルテンが入ってるか入っていないかの説明は無いな…。という事は、普通に入っていると答える感じで解答していいのか?いや、でも、入っているって答えるだけだったら、簡単すぎるだろ… 」
と、色々と考えた結果、以下のように解答した。
んでその後、以下のようにフィードバックが返ってきた。
というわけで、どんな風に考えて、何を解答しても良いわけだ。これはこれで、自分のアウトプットに対してのちゃんとしたフィードバックなので、勉強になった。
デメリットというほどの事でも無いのかもしれないが、最初はこんな、どう答えて良いか分からない的な部分に少し戸惑うかもしれない。
HiNative Trekに向いている人
改めて、HiNative Trekで最大限の効果を得られるであろう人達はこんな人達ですよ、ということを書いておく。
- TOEICではそこそこ点数が取れる(600〜800)が、アウトプット足りなさを実感している人
- TOEICの勉強では物足りなさを感じている人、TOEICの勉強を卒業したい人
- 現段階で英会話スクールに通うのは経済的、あるいは英語力的に躊躇している人
- 自分に最適なアウトプット環境を見つけられていない人
上でも言った通り、HiNative Trekは一目見るだけだと、料金が高いので躊躇してしまうと思う。僕も最初高いと思ったし。
しかし、上の条件に当てはまる人にとっては、コストを抑えながらアウトプットの少なさが補える最適の教材になるはずだ。
HiNative Trekに向いていない人
- 文法も発音も自信があり、もうとにかくガンガンにアウトプットをする!という段階の人
- 別に自信があるわけでは無いが、最適なアウトプットの環境を見つけられている人
- TOEICが500点以下の人
2番目の、別に自信があるわけでは無いが、最適なアウトプットの環境を見つけられている人に関しては、今のアウトプット環境が有料なものであれば、HiNative Trekの料金は少し負担になるかもしれない。
しかし、アウトプット環境が見つけられてはいるが、ちょっとアウトプットの機会が足りない気がする…ということであれば、HiNative Trekを活用する事を考えても良いと思う。スキマ時間を利用してアウトプットの少なさを補えるからだ。
また、TOEICで500点以下の人にとっては、残念ながらHiNative Trekの使用は少し早いかもしれない。多分今取り組んでみても、フィードバックの内容がすんなり頭に入ってこない可能性があるからだ。
まとめ
長くなったが、以上が、HiNative Trekの使用感レビューだ。なんやかんやいろいろ書いたが、要約すると、「少し高いかもしれないけど、少ないアウトプットの機会を補うのに最適な教材」という感じだ。アウトプットする機会がなくて悩んでいる人にとって、心強い味方になる教材だと思う。
以下のリンクから会員登録ができるので、このレビューを読んで取り組んでみたくなったという人は、ぜひ使ってみよう!